運搬作業は出荷につきものですが、作物によってはかなりの重労働になりがちですよね。規模にもよるものの、最低でも数人は作業者が必要となるため、人手不足を感じている農家さんも多いかもしれません。そこで昨今では、そんな運搬作業の負担を少しでも緩和するための農業ロボットが開発されています。
最初にご紹介するのは、2021年にマーケティング販売が開始された「メカロン」。茨城県のロボットメーカーDoogによって開発された運搬用農業ロボットで、電動の追従搬送台車型ロボットとなっています。足回りをクローラーにすることで、農地の移動をスムーズにできるよう工夫されているのが特徴です。
開発元の公式サイトにはまだ製品として掲載されていませんが、既に茨城大学農学部において現場体験会が実施されており、農機具の代理店等での販売を予定しているそう。気になる方はぜひ今後も情報をチェックしてみてくださいね。
標準800×600mmのサイズ感をもつメカロンは、カゴを2つ並べて置ける想定。100㎏~200㎏の積載が可能で、足回りのクローラーは農業機械・運搬車の製造で知られる河島農具製作所が造っているため、どっしりとした安定感があります。連続稼働時間はおよそ6時間。5分から10分程度でスキルを問わず利用できるよう、操作も簡単なのが魅力です。
メカロンの導入メリットは、独自の機能である「メモリートレース」により、ホームポジション(A地点)から作業場所(B地点)までの道のりを周辺の木々等の状況を見て記憶し、繰り返し作物を自動で運べるというもの。地点を登録しておけばほぼ人の手は不要で作物を運搬できるため、人手不足の解消&人件費の削減が見込めます。
また、作業者に年配の方が多く、力仕事が難しい場合にもおすすめ。障害物がある時は一時停止して助けを求めるシステムも搭載されていますから、故障や迷走する心配もありません。
Doogは、茨城県に本社を置くロボット開発メーカー。Doogは「道具」「Good」「Dog(人の意志を尊重し、従順に働いてくれる存在の例え)」を組み合わせた造語で、確実に動作するロボットづくりを目指しています。メカロン以外にも搭乗型ロボット、協働運搬ロボットを取り扱っており、今後も成長が期待できる企業です。
会社名 | 株式会社Doog |
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問い合わせTEL | 記載なし(メールにて対応) |
本社所在地 | 茨城県つくば市吾妻3-18-4 |
URL | https://doog-inc.com/ |
研究段階の運搬用農業ロボットとしては、埼玉県深谷市の「キャベツ搬送ロボット」に注目。これは同市で農家と企業のマッチングをはかる『DEEP VALLEY』構想に基づき、地元企業が協力して開発したものです。
研究には問い合わせ先となっている株式会社アトラックラボをはじめ、消防レスキューと防災アドバイザーの経験を活かしたIT企業である株式会社アームレスキュー、露地野菜の栽培をメインに行う農業生産法人有限会社ファームヤードが関わっています。
キャベツ搬送ロボットは、電動のインホイールモーターを4輪に採用した電動台車となっているのが特徴。これによって200㎏の積載重量を実現するとともに、車両の軽量化をはかっています。通常の人力台車では2~3人の力が必要とされるキャベツの運搬ですが、これならシンプルな操作で人手不足も解消できそうですね。
実用化は2021年内を目指すとありましたが、今のところ続報は出ていないようです。ただ、共同開発を行ったファームヤードでは既に導入したいとの声があるようなので、これから一般に広がっていくのではないでしょうか。
アトラックラボは、埼玉県で無人機の設計や製造を行っている企業。現在はロボットアームやドローン、ローバー型ロボットベース、無人艇といった製品を取り扱っており、農業はもちろん様々な産業での活躍が期待できます。AI技術を活用したデータ処理・クラウドサービスにも対応。
3~6か月の短期的なプロジェクトを組み、それを常に回していくというスピーディーな成果目標を掲げ、日々目まぐるしく進んでいく技術変化を柔軟に受け入れられるよう心掛けているそうです。
会社名 | 株式会社アトラックラボ |
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問い合わせTEL | 記載なし(メールにて対応) |
本社所在地 | 埼玉県入間郡三芳町藤久保16-37 |
URL | http://attraclab.com/hp/ |
展示会出展実績 | 農業weekほか |
運搬は若者にとっても大変な作業ですが、農家では作業者が高齢な場合も多く、人手不足の問題を抱えているケースもあると思います。今回ご紹介したような自動走行ロボットを導入すれば、無理なく作物の積み下ろしや移動ができるほか、その分を他の作業に充てられる可能性も高いでしょう。
今後も成長が見込まれる分野ということもあり、ぜひ続報を待ちたいところですね。