農作業から探す農業ロボット

農作業には、耕うんから種まき、苗の育成、受粉、水やり、除草、農薬散布、収穫、運搬、選別、包装…と膨大な工程が存在します。しかもそれぞれにかなりの時間が割かれる上、作物ごとに適したタイミング内で完了させなければならないため、従来は多くの人員を雇用して行うのが一般的でした。

ですが、近年では農業の高齢化が進み、後継者不足に悩む農家が増えるとともに人手不足も大きな問題に。そこで注目したいのが、作業を代行してくれる「農業ロボット」です。製品全体で言えば、おおむね人工知能を活かして自動操作が可能なのが特徴ですが、一体どのように導入されているのでしょうか?

耕うん

農地を事前に整備する耕うんは、農作業の中でも基本となる工程のひとつ。元々トラクターが開発されているため、比較的負担なくできそうな作業にも思えますが、近年では更に進化した「ロボットトラクター」が登場しています。ロボットトラクターは乗車していなくても自動走行が可能なため、1台で2台を動かしたり、その間近くで別の作業をしたりと更なる効率化が期待できるでしょう。

また、利用者のスキルを問わず誰でも動かせるのも魅力。今回は代表的な農業機械メーカーとして知られるヤンマーと井関農機が提供するロボットトラクターについて、詳しくご紹介しています。

直播・育苗・定植

直播(種まき)・育苗(苗の育成)・定植(畑への移植)といった作業も、手作業ではなかなか難しいもの。しかし昨今ではこちらもAI化が著しく、例えば日立産機中条エンジニアリングによる定植ロボット「植物工場向け自動機」や、株式会社オプティムと石川県農林総合研究センターの協同開発による直播用の自動飛行ドローンなどが事例として挙げられます。いずれは育苗に関しても、ロボットが行えるようになるかもしれませんね。

受粉

植物を育てる上で重要な受粉。これを助けてくれる存在としては、主にいちごの受粉を行うHarvestX株式会社の新型自動栽培ロボット「XV2」が挙げられます。また、イスラエルを拠点とする農業スタートアップ企業、Arugga社が発表している「TRATA」も今後注目の農業ロボットと言えるでしょう。では、それぞれにどのような性能・特徴があるのか詳しく見ていきましょう。

水やり

植物によっては毎日必要、というイメージがある水やり。人の手によって行うのはもちろん、大型ホース等を使ってもなかなか骨が折れる作業ですよね。そこで開発されたのが、ルートレック・ネットワークによるAIかん水施肥ロボット「ゼロアグリ」です。これはクボタ等他農業機器メーカーでも提供している農業ロボットで、肥料を溶かした水を与える潅水施肥が自動で可能となっています。

除草・草刈

作物の成長を妨げる、煩わしい雑草。これを取り除くためには除草作業が必要ですが、草刈機を用いても農地が広いとかなりの負担になりかねない上、作物を避けながら行うのは難しいもの。そこで今回は、除雪機のメーカーとして知られる和同産業が開発した除草ロボット「KRONOS MR-30」に注目してみました。NTTと果実堂が協力した除草・草刈農業ロボットの研究事例についてもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

農薬散布

作物によっては、特に虫に好かれやすいものもあります。そんな時有効とされているのが農薬散布ですが、こちらも水やり同様農地が広いと負担が大きくなりがち。では、農薬散布をサポートしてくれる農業ロボットはあるのか?というと、埼玉県深谷市にある地域密着型のIT企業「レグミン」にて、深谷ねぎに適した農薬散布ロボットが開発されています。肥料や種子なども撒けるニックスの粒剤散布装置の研究事例もご紹介していますので、併せてご参考ください。

収穫

作物が育てば、いよいよ収穫作業。しかし、中には急いで収穫しなければ時期を逃してしまうものもあるので、タイミングが重要です。そこで近年では、収穫作業を効率化する農業ロボットも続々登場しています。ここでは「トマト」の収穫ロボットをはじめ、「きゅうり」の収穫ロボットや「アスパラガス」の収穫ロボット開発事例などについて詳しくご紹介していますから、関わりのある事業者の方は特に必見ですよ。

運搬

収穫した作物の運搬作業は、例えばキャベツやスイカ、その他果実など大きさや重量のあるものになるとかなりの重労働に。特に高齢化が進んでいるとされる農業においては深刻な問題ですよね。そこで近年では、ルートを記憶させて自動で運搬が行える搬送ロボット「メカロン」が登場しています。深谷市で複数の企業が協力して開発されている「キャベツ搬送ロボット」の情報も併せてご覧ください。

選別

出来上がった作物は、すべて出荷できるというわけではありません。サイズや色、形などによっては市場に出回れないものも存在するため、事前に選別作業が必要です。ですが、人の手で選別を行うと作業者のスキルに左右されたり、たくさんの人を雇用しなければならなかったりと課題が生まれやすいはず。そこでここでは、ニレコが開発した選別ロボット「AP800シリーズ」について詳しく解説するとともに、個人で挑戦されているきゅうり選別ロボットの研究に関してまとめました。

包装・袋詰

いちごやレタスなどの繊細な作物は出荷の際包装が必要ですし、それを更に箱詰めする工程もありますよね。そこで昨今ではヤンマーからトマトやりんご、梨、柿、きゅうりなど適した作物ごとにそれぞれ「箱詰めロボット」が登場しています。レタスやグリーンボール専用の包装ロボットも開発されていますから、併せて見てみましょう。